2018-01-01から1年間の記事一覧

なつ(8)

はぐれ者カラス真昼の道の上、小さな影を背負って歩く 飽きもせず雨降り続き白露の飾り重たきツツジの花弁 青白のシオカラトンボやすやすと短き稲の間、潜り抜けたる

なつ(7)

ヒメジョオンばかり咲きたる野の原は白く波打つ風吹くたびに 空を行く黒雲のごと足早に自転車過ぎさる夕立の前 オオムギの揺れる穂先に腰掛けて揺れては飛び立つスズメの遊び

はる(10)

朝起きて日の出を見たり電線の上のスズメと同じ目線 真っ直ぐに伸びるロープにオニヤンマ、羽を休めて顔を掻きたり 大雨の一晩明けて天空の水あふれたる河原の歩道

はる(9)

春風を斜めに受けて胸そらし 今年のツバメも見事に飛べり どんぐりが目を覚ましけり重たげな我が身もち上ぐ春の林床 たんぽぽの花をまたいで荒れ果てた畑地の藪に猫は消えけり

ふゆ(2)

庭の奥、バケツに張った氷にも冬の朝日が差し込み始める 真っ白な雪の野原にてんてんと狸の足跡、丘を越えたり 常ならず 木の実咥えたヒヨドリは梢に居ても無口なままか