2019-01-01から1年間の記事一覧

あき(5)

ノブドウの不格好な実、色づいて 藪の中にも秋は来たれる 欄干にノスリ近づくその瞬間、気が変わりけり林に帰る 夕日越しススキの穂波揺らめいて光こぼれる帰り道かな

あき(4)

真っ暗な秋の夜明けに窓開けて すぐさま気がつく金木犀の香 氏神に大旗の立つ秋の朝 静かに連なるコオロギの音 朝からの長雨終わり屋根の上 夕日の光をスズメが浴びる

なつ(9)

若葉色ちびのカマキリ振りかぶり大きな指に立ち向かいたる 唐突に蝉の鳴き声抜け落ちて、ほんのわずかな夏の静寂 梅雨の夜、月は沈んでまた浮かび雲の海原泳ぎ続ける